隣の部屋から賑わしい声が響く中で、いつの間にか注文をしていたお寿司が到着する。
そしてあっという間に、お母さまお手製のご馳走とともにお食事タイムになった。
「亜実ちゃん、どう…?」
「うん、おいしいー!」
「そうかそうか!どんどん食べなさい」
「はーい!」
すっかり仲良しになった亜実と大和のご両親が、さらに場を和ませてくれる。
「…もしかして、真咲より食べたりする?」
その光景を一瞥してコソッと耳打ちで尋ねてきた大和に、肯定の意味で頷けば。
「あら真咲ちゃんは、もっと食べなきゃダメよ!」
「はい、ありがとうございます」
「でもね…亜実ちゃんの食欲には、ちょっと驚いたけどね?」
手を止めていた私に勧めながらも、ペロッと舌を出して彼と同意見なお母さま。
「ふふっ、そうですよね?冗談抜きで、私より食べますから」
「へぇ、でも美味しそうに食べてくれるから嬉しいわ。
お父さんと2人きりだとね、ホント作り甲斐が無くって!」
ようやく私の緊張も良い意味で解けて、お食事と会話に集中出来るようになれた。
「私たちも…こんな風に、賑やかなお食事って久しぶりです」
「真咲ちゃん…」
広々としたテーブルにズラリと並んだお料理は、どれもが温かい家庭の味で。
温かい幸せに包まれると、こんなにも優しい気持ちになれるんだね?
独りで虚勢を張って、必死に仕事だけに向かっていた頃が色褪せていくみたい・・・

