場の雰囲気に呑まれて、挨拶するタイミングをすっかり逃した気がしていると…。
「オマエには言ってない、あくまで真咲さんたちにだ!
やー、亜実ちゃん可愛いなぁ…」
大和をスルーした男性は徐に立ち上がると、亜実の方へとすぐさま駆け寄り。
そのまま目線を合わせるようにして、しゃがみこんでニッコリ笑ってくれた。
「おじちゃんだぁれー?」
「あ、亜実…!」
ニッコリ笑う男性に首を傾げる亜実の発言で、サーッと血の気が引いていたのに。
「おじいちゃんだよ」
「おじいちゃんー?」
「そう、亜実ちゃんのジィジだよ」
「亜実のぉ?」
「あぁ、そうだよ」
「っ・・・」
外見とは違った優しい笑顔と言葉が嬉しくて、心がキュッと締めつけられる私。
「アナタね、自己紹介もしないウチにズルイわよ!
真咲ちゃん何だかゴメンなさいね?アレが主人だから。
亜実ちゃーん、私はおばあちゃんだからねー!」
「え、あ、あの…」
矢継ぎ早にオドオドする私にフォローを入れると、お母さまも席を立ってしまう。

