ヤバい…よね、コレって?
恐る恐るぶつかったと思われる方へと向けば、無残に書類や荷物が散乱していて。
マナーの煩わしさから大きく腕を動かしたせいで、隣の男性と接触したらしい…。
「すっ、すみません!」
自己嫌悪になりながらも、まずはしゃがみこんで一緒に拾い始めた。
割と空いている路線といえど、公共の場での失態に泣きたくなる。
情けなさと恥ずかしさで、もう泣きたい気分になるし。
そのうえ周りの乗客は皆、“我関せず”と言った様相をしている。
もし私が第3者ならば、右に倣えで絶対手伝うことはないだろうけれど。
そんなことが脳裏をよぎりつつ 荷物を拾う手は休めることは出来ず。
荷物が散乱している箇所だけが空いて、異様な空間に包まれていた…――
だけれど、不幸中の幸いというか。
その男性の荷物は少なくて、お陰ですぐに集め終えることが出来た。