声色からして優しい、大和のお母さんのハグが温かくて、すっかり心が落ち着いて。
いつでも人に対して、一歩距離を置こうと引き気味な私を引き止めてくれる…。
「母さん…」
「良いじゃないの、別に!」
ギュッと抱きつかれたまま固まっていると、大和が呆れた声色で引き離して。
「俺が嫌なんだよ」
憤慨するお母さまをよそに、サラッと言いのけてそのまま私の肩を引き寄せる彼。
「へぇ、言うようになったじゃない?」
「血筋じゃないか?我慢出来ないのって…」
「なに、どういう意味よ!」
「ふふっ・・・」
「真咲?」
「ごめんなさい…、面白くって…」
言い合う2人の雰囲気が優しくて、堪え切れずに肩を揺らして笑ってしまった。
「やだ変なトコ見せて恥ずかしいじゃない!」
「今ごろ言うか?」
「だってー、待ち侘びてたから興奮しちゃったのよー」
彼女とは言葉を交わした訳じゃないのに…、他人を信用出来ないでいた私なのに。
何だろう…、大和と出会った時のように警戒心なんてまったく感じない。
彼が愛情に包まれて育てられた事が、ほんのひと時で伝わって来たの・・・

