誰だろう?なんて考えさせてくれる暇すら、与えては貰えずに・・・



「やーん、可愛い!どうしましょう…!」


1人でキャーキャー騒ぎ立てながら、そのまま亜実をギュッと抱き締めたのだ。



驚きのあまりに私は、亜実と繋いでいた手を離してしまったのだけれど。



強烈なハグ攻撃を受けている亜実もまた、ポカンと口を開けて無言のままだ。



何とも反応し難い場の雰囲気に苦笑を浮かべていると、盛大な溜め息をついた大和。




「・・・母さん、亜実ちゃん固まってるぞ」


「え?あーん、亜実ちゃんごめんねぇ?

歩いて来るのが見えたら可愛くって!もう我慢出来なかったのよー」


彼が呆れた物言いをすれば、その女性はようやくハグから亜実を解放する。



「ハァ…真咲悪い…、これが母親」


またひとつ溜め息をついたあとで、女性を指さしながら私を見て苦笑した彼。



「あら、何て紹介の仕方よ!?

やーん、真咲ちゃんも可愛いー」


「え、え…!?」


大和のお母様と知ってすぐに挨拶するつもりが、今度は私がハグされてしまって。



「でかしたわ、大和!」


「え、あ、あの…」


「…悪いな、親子らしく“好み”が一緒で」


戸惑いがちに大和を見れば、亜実を抱っこしながらハハッと笑っている始末で。



周りにつられて笑えば、不安だった気持ちがスーっと取り払われていた・・・