大和は“どうした?”なんて首を捻っているけど、無理もナイでしょう…?



「わぁー、大和くんのお家おっきい!」


「ハハ、それはありがとう…真咲?」


「・・・・・」


亜実の正直すぎる反応にもサラっと笑い飛ばす彼に、暫し呆然とするわよ…。



子供の天真爛漫さっていうか…、何にも分からない事が羨ましく思えるほど。



眼の前にドドン!と構える武家屋敷の凄さに、言葉も見つからずにいれば…。




「ね、ねぇ…、り、立派すぎるお家だね…」


「そうかぁ?田舎だからだろ」


「そういう問題じゃなくて…」


「細かいコトは気にすんな。ほら、行くぞ?」


新たな問題浮上にパニック度合いが増した私を、フッと笑って片づける彼。



「真咲ー」


漆黒の立派な門構えへと亜実を引き連れながら、佇んでいる私にも促して来た。



「う、うん・・・」


その優しい顔つきに、その声で呼ばれると、結局は逆らえなくなるのだけど。



ちょっと待って…、どうして鎌倉が田舎にカテゴライズされるワケ…?



聡明な大和の思考が読める訳もなく、砂利を踏みしめて私も門を潜り抜けた・・・