宇津木くんに悪いと思う感情自体、余計に失礼な事だと泉が言ったから。
代わりに…こんな私を好きだと言ってくれた人に、心から感謝をしたい。
好きだとか愛なんてモノを、まったく信じる事なく無情に生きて来たけど。
私なんかを必要としてくれた大和と一緒に、もっと幸せにならなきゃね・・・
「そっか…――」
ハンドルを握り、正面を見据えながら頷いて聞いてくれた大和。
話し上手なのに、一転して聞き上手にもなれる彼は流石といったトコロだ。
宇津木くんから始まり、仕事と家事に忙殺された週はすぐに終わって。
ようやく迎えた週末…、というよりドキドキの休日ドライブ中の現在。
宇津木くんと面識のある彼に誤解されたくないと、私はすべてを話す事にした。
これはもちろん、恋愛マスター・泉様からの助言からだけどね…。
「うん…、本当は仕事って割り切ろうとしても気まずかったの…。
でも、宇津木くんの方から普通に接してくれてね?だから私も…」
鉄の女と言われる私でも、やっぱり人を傷つけた後の武装は役立たずで。
報告書が未提出だった事を正せずにいれば、何と平然と話し掛けてくれた彼。

