あんなに頑なに愛を信じていなかったクセに、人生って分からないね?
今は大和の存在を支えにしてる自分が、不思議で仕方ないもの・・・
「…本当に、ごめんなさい」
ギコちないお詫びを告げてから、深く深く頭を下げて謝罪した私。
そう、大和に会う前に先ずやらなければならない事があるから…。
「ほんの少しも…、俺に希望は残されてないですか?」
「っ、ごめんなさい…」
どことなく苦しみの混じった声が返ってきて、目も合わせられなくて。
ただ逃げるように頭を下げ続けるのは、イイ大人のクセに卑怯だ…。
“結婚するからゴメンなさい”なんて、断り方まで酷すぎるもの――
「本当にごめんなさい…」
頭を上げられないから何度も謝罪を重ねて、彼の顔を捉えられない…。
出社前に宇津木くんに電話をして、オフィスに近い公園で待ち合わせた私。
そのまま電話で告げても良いかもしれないけど…、ソレは出来なかった。
彼の上司として顔を会わせる環境なのに、あまりに失礼すぎるから…。

