何処からともなく訪れた…、何て事のナイ偶然の出会いだった筈なのに。
今までならテキトーな社交辞令を交わして、愛想笑いを浮かべた筈なのに。
免疫はソレなりに持ってたし、男社会に生きていても無情だった筈なのに。
大和だけはどうしてか…、纏って来た“武器”を行使出来なかった――…
「それで今週末ね、大和が来てくれるんだけど…」
「なに?その時にヤる訳!?」
「違うってば!もう少しオブラートに包んでよ…」
「なに、今さら恥ずかしいとか言えるトシ?」
思わず性別を忘れてしまうほど、その外見の良さを打ち消す泉の発言。
「それはそうだけど…って、話が脱線しかけてた…。
実はその時に、大和のご実家へね…」
「はぁあああ!?
なに、もうソコまで進んでんの!?」
カップの中の高級ティーが零れそうなほど、リアクションの大きい泉。
「…うん、やっぱ早い?」
「一般的にはね。でも、良いんじゃない?
アンタみたいなタイプは、アレコレ迷うより進んだ方が良いよ」
「そうだね、かなりドキドキするけど…」
“報告に行くから、一緒に来てくれる?”と言われて、頷いたのは昨日の事。
私は天涯孤独の身だと彼に告げてるし、あんな人の存在を出すつもりも無い。
だけど頼もしい彼との出会いが、着実に私の何かを変えていたね…――

