だけど急すぎる自分の感情の変化に、驚きを隠せずにいたの・・・
絶対零度の私なんて、絶対に人を好きになるコトは無いと思っていたのに。
どんなに格好良い人から、どんな言葉を囁かれても惚れない自信に満ちていたのに。
亜実を育てて、生涯仕事に捧げて一人で生きていく覚悟をしていたのに…――
「っ…、わ、私…」
「うん、何?」
「わ、たしで…いい…、の…っ?」
いつしか瞳いっぱいにしてポロポロ零れていく涙を、優しく拭ってくれる大和。
「俺は真咲しかダメだから」
「ひっ…、く、うっ…」
ずっと掲げていた信条を吹っ飛ばすように、ギュッと彼に抱きついてしまう。
私の薄ーい恋愛遍歴は、亜実が生まれた大学時代でストップしていて。
それこそ恋愛と呼ぶのも図々しいくらい、相手を信用していなかった。
どれだけ好きだと言われても、“男なんて結局は…”と結びつけていて。
無情さと“ある物”を背負う私には、甘言が“有害”に変換されていたのに・・・
「俺と結婚してくれる?」
「・・・っ」
彼の広い胸へと縋りつきながら、本当は望んでいた幸せを噛みしめるように頷いた…。