“あの人”から振り込まれるお金もあるから、これ位は許されるでしょう?
本当はあんな汚いお金なんか、私は絶対に使いたくもないけれど…。
もう1人の娘である亜実が立派に育つまでは、私の一存で断る事も出来ないし。
この先に何があるかは分からないから…、仕方が無いよね・・・
血が繋がっていようが、“父”という名称を使いたくない“あの人”。
お金だけで繋がっている腐りきった関係を、早く終わらせなきゃ・・・
帰宅した私たちは適当に食事を済ませると、今日はバスタイムを手短に終えて。
そのまま亜実はベッドに入ると、すぐにぐっすりと眠ってしまった。
買ってあげたイルカのぬいぐるみを、ギュッと握り締めながら・・・
そうして一人きりになったところで、ようやく行動する事にした私。
そう、大和に電話を掛けるトキが…――
携帯電話を手にして、ドキドキしながら“川崎 大和”の名前を見つけ出した。
PRRRR・・・♪
「・・・っ」
一定のリズムで鳴り続けるコール音が、さらに鼓動を早めていく。

