そうだよ…、とにかく今は冷静になるべきだから…――
電車を乗り継いで向かった水族館は、休日の割に意外と空いていた。
クリアブルーの水槽、幻想的な空間、バシャンと音を立てる波飛沫。
魚、イルカ、ペンギンたちを見ながら、ゆっくりと楽しむ事が出来た。
何よりもキラキラとした笑顔を向けてくれる、亜実のお陰で・・・
「真咲ちゃん、楽しかったね!」
「うん、亜実の案内のおかげで、すっごく楽しかったよ?」
「えへへー」
イルカのぬいぐるみを大事そうに抱えて、照れている亜実が可愛くて。
ようやく本当の笑顔を見せてくれた安心感が、私の心を温めてくれた…。
だけれど同時に、自分のドロドロした部分が表面化してくるの。
いつでも言い訳を作って、ソレを自身で正当化しているから・・・
“仕事が忙しくて仕方ない”
“女だから認めてもらえない”
“私には亜実が居るから”
全部の鎧を纏って、勝手に自分を慰める材料にしていたのに…――

