恋 理~renri~



どうして私は、こんなにも苦しめてしまうのか…。



母の忘れ形見でもある、何よりも大切な子を・・・




「…う、ううん、大丈夫だよ!

それならお姉ちゃん、水族館に行きたいんだけどなぁ?

ほらこの前は、泉と行って来たでしょう?

真咲ちゃん分からないから、亜実が案内してくれる…?」



本当はあまりに不甲斐ない自分が際立って、グッと込み上げるモノがあった。



だけれど、それは余計に亜実を苦しめさせるだけの不要の長物なの。




「うん、亜実が案内してあげる!

イルカさんのジャンプ、スゴイんだよ?」


私の言葉でようやく、ニッコリとした笑みを見せてくれて。



「わぁ、すごい楽しみー!」


大切な妹の小さな手を引いて、そのまま水族館へと向かった。




何が一番大切かなんて、そんなに決まっているのに・・・



亜実がいつでも笑ってくれるなら、仕事なんてどうでも良いモノで。



あれだけ躍起になっていたココ最近の自分が、馬鹿らしく思えてしまう…。




悲しさや悔しさの詰まった負の涙なんて、この子には絶対に見せない。



2人だけの今は、大和の事も忘れてしまおう・・・