肝心な時にサインを見逃してしまうのは、悪いクセだね・・・
「それじゃ、今日はご馳走さま!
ゴメンね・・・本当に良いの?」
「気にしないで下さい。
この店、お手頃なんですから!」
「でも・・・」
会計を終えてお店を出たけれど、何度も尋ねてしまう私。
後輩の宇津木君に押し切られて、そのまま奢って貰ったからだ。
こちらがムリに誘ったうえ、明らかに私たちの方が食べた量も多いのに…。
「亜実ちゃん、また一緒に食べようね?」
「シュンお兄ちゃんありがとう、約束だよ?」
「ハハ、もちろん!」
だけれど笑顔で流して、屈んで亜実と視線を合わせつつ話し掛けると。
お辞儀をして礼を言った亜実の頭を、よしよしと撫でている。
「本当にゴメンネ!
次回は私が奢るから!」
そんな亜実の素直さを見習って、今度お返ししようかと提案すれば。
「マジッすか!?
それなら、今度はいつにします?」
「・・・え?」
宇津木君が急に立ち上がったので、今度は私を見下ろす形で対峙している。

