宇津木君は鈍いクセに、意外なトコロで気遣いが出来たりするのよね…。
「い、いえっ!!
むしろ俺は嬉しいですし…」
「え…?」
「あ、いや…、コッチの話です!」
すると突然、声をあげたと思えば、顔を赤らめながら焦っている彼。
「ねぇ、どうかした?」
「い、いえっ――
ちょっと・・・」
こちらへの返答もそこそこに、慌ててウーロン茶を流し込むから。
・・・意味が分からない――
「真咲ちゃん、おみそ汁欲しいー」
「あ、うん、いいよぉ。
他に食べたいのある?」
「おつけもの!」
「はい、たくさん食べてね…」
食べ物の好みがシブくて、本当に5歳児なのか疑わしくなる私。
そんな亜実との会話に夢中になっていたから、肝心なモノを聞き逃していた…。
「アイツには渡しませんよ…」
ポツリと紡ぎ出された、宇津木君の決意にも似た言葉を――

