恋 理~renri~



普段は大人しくて聞き分けのある亜実だけれど、やっぱりそこは5才児で。



それも大食いだからか、お腹が減ると途端に不機嫌になる・・・




「もうお腹減ったー!」


「そうだよねぇ、ごめん!

うんうん、すぐにご飯食べに行こうね?」


宇津木君を放置すると、私は慌てて自分のデスクから資料を探し始めた。




「シュンお兄ちゃんも行こうよぉ?」


資料に埋もれたデスクを漁っていれば、彼の服を引っ張っている亜実。




「えっ…、僕は良いけど・・・係長?」


先ほどの言い合いで分が悪いからか、チラリと視線をこちらに向けてきた。



「亜実がワガママ言ったけれど…、仕事は大丈夫なの?」


未だに彼の服を掴んで離さない亜実の姿に、思わず溜め息をついてしまう。




「ハイ、全く問題ありませんよ!」



“全く”っていう言葉が、余計に心配になるわよ・・・



「…そ、そう、悪いけどご飯だけ付き合ってね。

亜実が煩くなるし、すぐに出ましょうか?」


「それじゃあ、亜実ちゃん行こうか?」


「やったぁー!」


ニコニコしながら歩き始めた亜実に、思わず私も笑みが零れていた。