不意に真剣な顔を向けられて、息を呑んでいる私がいた。
その表情が冗談を返する事すら、戸惑うような顔つきだから・・・
「…なんて、驚きました!?」
すると暫くの沈黙のあとで、宇津木君がペロッと舌を出した。
「…なっ、もう――!
急に真面目な顔するから、驚いたじゃない!」
焦っていた事がバカに思えてきて、恥ずかしさ混じりに怒れば。
「ハハッ、才女を打ち負かすと楽しいっすねー」
「へぇ…それなら月曜日は覚えていらっしゃい?
たーっぷり可愛がってあげるから…」
呑気な笑いを浮かべている彼に、仕事モードの私が覚醒した。
「えっ…、それは困りますって!」
「もう遅いわよ!」
またしても彼と対峙して、展示会の時のような言い争いをしていると。
「ん・・・?」
「真咲ちゃん…、お腹すいたぁ」
シフォン素材のスカートを、クイッと引っ張りながら亜実が呟いた。

