恋 理~renri~



さすがにキスされた事は、オブラートに包んでいた自分がいたけど…。




「フフッ…、やっぱりね!」


プレゼン口調で淡々と話し終えた私に、何やらほくそ笑んでいる泉。



「何がやっぱりなの?」


一気に話し終えたせいか、喉がカラカラで追加注文のカシスオレンジを流し込むと。




「アンタ、相当愛されてるわね!」


「――っ!?」


突拍子も無く放たれた言葉に驚き、カシスオレンジを噴出しそうになった。



「川崎さんてば、アンタにベタ惚れだし」


「はぁー!?

アノお話のどこから、そう感じ取れたのよ!?」


ニヤニヤしている彼女の発言に、今度は声を荒げてしまう。




「まっ、鈍感な真咲には通じてなかっただけ。

そのクセ疑われてるなんて…、ちょっと同情するわ」


「ちょ、ちょっと!

分かるように説明してよ!」


勝手に自己完結しようとするのを制して、その真意を尋ねたのだけど。



「ホホッ、さすがの東大卒も形無しねぇ?」
 

「何とでも言ってよ…」



“東大卒”と言うフレーズは、私が最も嫌っている言葉であるけど。



それでも泉に言われれば、もはや諦めの境地で許せるのだ。