キスの余韻が甘く疼きながらも、楽しい時間が流れていって。
話し込んでいるうちに、あっという間に私の家に到着した。
大和は車を路肩に停車させると、マンションを見上げていて。
「へぇ~、良い所に住んでるな。
1人暮らしじゃないよな…?」
こちらを向き直った彼のお尋ねにも無理はないだろう。
当時の購入額は知らないけれど、どうやら億ションらしい。
あんなヤツの持ち物だとしても…、それでも母との思い出が残っていて。
売り払うコトも出来ずにいるの…――
「うん…、母が亡くなってるから…。
今は5歳の妹と2人暮らしなの」
「そっか・・・」
言葉を選んで気遣っているらしい、優しい大和に微笑んだ。
突然に母が亡くなったコトは、本当に辛くて、悲しみは消えないけれど。
それでも亜実がいてくれたから、今日までやって来れたんだ…。
でもね、今頃になって気づくなんて…。
亜実のコトを何にも言ってない――!

