「このカルパッチョ、美味しい!」
「ハハッ、良かった」
それでも笑顔の仮面を取り付けた私は、にこやかに食事をしていたの。
思っている事を顔には出さ無いよう、笑顔の仮面を取りつけていたからで…。
だけれど、その仮面がいつしか取れて、ごく自然に笑ってしまっていた。
それは時間が経つにつれて、大和の“ある違い”に気がついたからだ。
初対面の時によく見たあのスマイルと、今の私に向ける笑みが違うコト。
あのスマイルは目尻が下がらずに口元だけで笑っていた、まさに営業用で。
昨日一緒にいた女性に向けていた笑みも、この営業用だった気がしたの…。
心から笑いかけてくれていると、都合良く思っていても良いよね?
だって大和は、私を好きだと言ってくれたから――
疑ってばかりじゃ何も始まらない…、信じてみたいの・・・

