何だか私…、ここに来てから心配で堪らないよ・・・
取り留めなく、当たり障り無く、どこか慎重に会話を重ねていると。
どこか重苦しく思っていた個室に、白ワインと前菜が運ばれて来た。
大和は運転のためにお酒を断ると、私のグラスにだけワインが注がれる。
芳醇なお酒の香りが鼻腔を掠めても、その誘惑には消極的になっていた。
「私もいいのに…」
泉とよく飲みに行くほど、本当はお酒が大好きだけれど…。
ソフトドリンクを飲む彼に申し訳なくて、手をつけないでいたのだ。
「な~に言ってるんだよ!
上手いメシには上手い酒だろ?」
「うん・・・」
それでも彼の言葉で、ようやくグラスを手に持った。
グラスに口をつければ、葡萄の渋みと甘さが瞬時に広がっていく。
高級ワインであることは、素人にも明らかなそのお味だけれど。
素直に美味しいと言えない私は、やっぱり可愛くない?
どうしても他の女性の反応はどうだったのか、気になるよ・・・

