「どうかした?」
「あ、ううん!
あんまり素敵だから、見とれてたの…」
首を傾げる大和に悟られないよう、インテリアに目を配って不自然さを拭った私。
「この部屋の雰囲気、俺も好きなんだ。
他のお客さんにも、結構評判らしいよ?」
幸い見破られなかったらしく、絵画へと視線を移していて。
「へ、へぇ…、やっぱり…」
“他のお客さん”のフレーズに、再びドキリと鼓動が波打ってしまう。
「真咲・・・
どうした、やっぱりおかしいぞ?」
いつの間にか、こちらを見ていた彼に尋ねられたために。
「う、ううん!
今日はどんなお料理が出てくるのかなって、考えてたの」
ムリヤリ笑って、小さなウソをついてしまった。
「ハハッ、そっか!
味は分かってるだろうけど、今日のも期待してろよ?」
「うん、楽しみにしてる…」
心とは裏腹に笑えるコトが、自分でも滑稽に思えて仕方ない。
どれだけの女性に、甘言を与えていたの――?
そんな不安が、グルグルと取り巻いていたのに・・・

