やけに静か過ぎる中で、バラード調のBGMが響く車内。


暫く流れる沈黙は、あまりにも切なさを助長していく。




すると突然、引き寄せられていた腕の力が弱まった。



クイッ――

顎をクイッと引かれて、近づいてくる彼の整った顔。



「ふっ…、ンンッ・・・」


塞ぐように唇を奪われて、啄ばむようなキスをされる。




「んっ・・やぁ・・」


拒もうとしても、彼の手で後頭部を抑えられてしまっていて。



私も必死で顔を背けようと試みたけれど、そこはテクニシャンの彼。




逃げられる筈もなく、さらに深みを増していくだけ・・・




「っ…、ンンッ・・・」


幾許かすると、今度は彼の舌が口内へと侵入してきた。



「んんっ・・ふっ・・んっ・・」


もう私は絡め取られる舌の熱に、順応していくだけ・・・




経験は人並み以下の私でも、彼のキスの巧妙さは判る。




激しさと優しさの波に呑まれたら、最後とも――