恋 理~renri~



亜実を遺してくれた母には、感謝の気持ちで一杯だよ。



「あ、でも・・・

このことは誰にも言わないでね?」

我に返った私は、両手を合わせてお願いした。


下手に知られると厄介だから、ずっと秘密にしているのに。


広まってしまえば、もの凄くやり辛くなる・・・



「了解です!

イザって時はフォローしますから、頼って下さいね?」

そう言って、真剣な面持ちの宇津木君に捉えられる。


ドキッ――

驚いた心臓が、大きく波打つように鼓動した。



「あ、ありがと。

でもその前に、仕事で独り立ちしてよ?」


「ハハッ…、それを言わないで下さいよ~。

ヒトが折角決めた!と思ったのに・・・」


「じ、冗談よ!

妹も一緒で良いなら、今度飲みに行きましょうね?」

予想以上にガクンと項垂れる彼に、思わず笑ってしまう。


「はい、楽しみしてますよ!」


「そうだね・・・」





「っ…、真咲――!」


「っ――!」

すると後方から聞こえてきた声で、ドクンと高鳴りを覚えた。



それは間違えようのナイ、大和さんの声だったから・・・