恋 理~renri~



何だか気恥ずかしくなって、アイスコーヒーに口をつけた。


ひんやりとした冷たさが、幾分心を静めてくれるようだ。



「いやいや、若いですって!

係長のお相手に立候補しましょうか?」


「へぇ…、上司をからかうなんて・・・

それなら明日のプレゼンを、貴方に任せようかしら?」

まだ食い下がる彼に、ピキッと青筋が立った私。



絶対に無理な要求をすれば、勝ち目はナイでしょう――?




「ウッ…、無理です!」


それまで俄然優勢だった彼が、すぐさま白旗を掲げてきた。



「ホホホ…、勝とうだなんて百年早いわよ!」

その態度で満足気に笑って、彼を苛める私。



「・・・・・」

悔し紛れなのか、アイスティーを一気に飲み干していた。





それからは終始私のペースのままで、喫茶スペースを後にする。


部長も見つかりそうにないので、もう帰るようにと促した。




「でも、普段あまりお話ししないし、喋れて楽しかったです!」


「本当ねー、普段は仕事の件しか話さないし…」


そう言ってくれる彼に、ジンワリと嬉しさが込み上げた。


仕事ヌキで話してみたら、とても面白かったから。