遠巻きに様々なブースを眺めつつ、歩く私たち。
今日はあまりの人混みに、とても見る気がしない・・・
「そう言えば、待ち合わせ時間は大丈夫ですか?」
「う~ん、あと30分くらいかな…」
腕時計を見ると、まだ待ち合わせには早すぎる。
早く待っていれば、これ見よがしみたいで失礼だし。
「でしたら、食事に行きたいんですけど…」
「えっ、まだだったの?」
「はい、部長が奢ってくれるって言ったので…」
脱力気味に話す彼が、すごく可哀想に思えた。
「それなら私が、代わりに奢るわ!
軽食程度の食事だけど…」
「マジですか!?
ありがとうございます!」
そう言って笑う宇津木君が、子供に見えてしまった――
私たちは、先ほど大和さんと食事をした喫茶ブースへ入った。
宇津木君は軽食から、ナポリタンとサンドウィッチ。
そして飲み物から、アイスティーをセレクトした。
私は食べたばかりなので、アイスコーヒーを注文した。

