あの口煩い部長の相手を、自ら率先してやる部下などイナイ。


ご覧の通りに、下っ端にお役が回っているのだから。




「確か係長の招待状を、部長が奪いましたよね?

それなのに係長こそ、どうして・・・」


「あぁ…、私は・・・

友人に誘ってもらったのよ」


友人と自ら言っておきながら、ズキンと走る胸の痛みに戸惑う。


それでも宇津木君には悟られないよう、笑顔で徹する私。



「えっ、そうだったんですか!?

だったら、僕が来なくて良かったですよね!?」


「ハハ…、そうみたいね」


彼はショックの方が先行したようで、苦笑しつつ項垂れた。


私としては、凄く有り難かったけれど・・・




「あれ…、でも係長、お一人ですよね?

ご友人の方はどちらに・・・?」


「今は別行動中なのよ。

向こうは、用事もあるようだから・・・」


自嘲するように笑うと、彼にそう説明をした。



大和さんを思うと、胸が苦しくて仕方がナイ。



今離れている距離は、相容れない私たちの関係そのもので。


絡まるどころか、いつでも容易く離れられてしまう。



所詮…、そんな緩い位置関係でしかナイのに・・・