今まで、仕事関係で知り合った人には・・・
経歴を話すと、途端に一歩後退りされる態度を取られたから。
こんな反応の人は、初めてだったの。
そんな私の言葉に、彼はフッと笑った。
「こんな言い方は、失礼かもしれないけど。
お前の能力の裏づけが取れて・・・
悔しいって、感じているだけだと思うな?」
「わ、私っ、能力なんてありません!」
悔しいと思われるような、覚えも無いし。
彼の言葉には、思わず首を捻ってしまう。
「真咲は、外部の声は知らないだろうけど。
朝倉で、管理職まで登り詰める社員は。
他社ではエリートだって、言われてるぞ?」
「何、言ってるんですか・・・
GELの方がよく言いますね、もぉ!」
呆れつつ、彼のほうを見て言い返すと。
「フッ…、それはご尤もだけど――?」
茶化すように答えるから、思わず笑っていると・・・
「でも東大出は、努力した結果だろ?
だから、萎縮したりする必要なんて無いよ。
それまでの人達には、それが認められなかっただけだよ」
彼の真剣な横顔と言葉に、心がじんわりと温まっていく。

