「アンタは“落第”じゃな、“ゼロ点の女”だ・・・」
呆れた表情で、最悪の称号を授けられた。
「なんで、デートに“スーツ”な訳!?」
「なんでって…、展示会だもん。
仕事絡みなのに、下手な格好なんてして行けないよ。
それに私、パートナーにしか思われてないし。」
そう言いながら、卑屈になってしまう。
「自分で言って、テンション下げないでよ・・・
でも私としては、展示会を口実にしたと思うけど?」
「・・・なんで・・?」
自称“恋愛マスター”からの発言に、目を見開いた。
「私は業界のコト、よく知らないけど・・・
川崎さんも、アンタと同じなんでしょ?
だったら・・・同行者は居るんじゃない?
何も、知り合って直ぐの女じゃなくても・・・」
次々に御託を並べ、まるで遊説するように熱く語られて。
その言葉と表情に、すっかり絆されてしまう私。
まぁ、無理もないよね・・・?
なんせ、恋愛に関しては“ゼロ点女”だもん。
経験豊富なヒトの話は、全てが教科書のようにしか思えない。
彼に会うまでの冷徹な私は、何処へ行ったのかな?
ホント・・・“恋”って、恐ろしいモノだ――

