用件を話し終えて、いささかホッとした表情の宇津木君に。
表情を戻した私は一言いいかしら?と、前置きをして話し始めた・・・
「その謙虚で柔和な姿勢って、とても営業に合ってると思う。
だけれど自信が無くて押しが弱いところは、営業では命とりなのよ…?
もっと自分に誇りと信念を持って、仕事に打ち込みなさい。
これだけの成果を上げられるのに、損をするのは勿体無いわ」
私の言葉を黙って聞いていた宇津木君は、すっかり真剣な表情に変わっていて。
「本当ですよね…、男のくせに格好悪いです。
もっと自分に自信持たないとダメですね・・・」
「そう思ったのなら、なおさら営業に廻りまくりなさい!
そうすれば自信もつくし、自ずと結果にも繋がると思うわよ?」
そう微笑んで重ねれば、また宇津木君に笑顔が戻っていた。
「やっぱり格好イイですね!
係長にご相談して良かったです。
早速先方にアポを取って、日時をお知らせしますのでお願いします」
「とにかくスピード勝負だから、早く行動あるのみよ」
「ありがとうございます」
私の言葉にしっかりと頷いてから、宇津木君は自分の席へと戻っていく…。
あんな風にやる気を全面に出して、前向きに頑張る子は珍しい。
絶対に伸びるって思っているからこそ、わざと冷たくしているのだ。
こんな私の本心なんて、誰にも気づかれていないだろうけれど…。

