突然の行動に、呆然としていると・・・
「あっ、以前お会いした小林ですけどぉ。
えっ、覚えてくれてますかー?
嬉しいっ、ありがとうございます~!」
声をツートーンも、瞬時にして上げた泉に呆気に取られた。
泉は正真正銘のSだけれど、それは本命だけで。
どうでも良い人には、猫被りをするのよね。
という訳で、コレはどうでも良いヒト・・・
さすが 自称“恋愛マスター”。
話し相手は誰か、分からないけれど・・・
「それで吉田さんは、“川崎大和”さんって知ってます?」
泉のその一言で、思わず目を見開いてしまった。
ここでやっと、閃いた鈍感な私。
例のGLLの人と、電話中なのだと・・・
「へぇ…、知り合いじゃないけど。
“社内で有名”なんですか~!?」
私に聞かせるためか、反芻しているらしい。
でもね・・・
それからの泉の声は、全く耳に入って来なかった。
あれ程のルックスと、有能さを兼ね備えてる彼。
私には不毛すぎると、確認させられただけだよ・・・

