「着いちゃうな。」 「うん。」 レンは寂しそうな目で、先にある停留所を見つめた。 すれ違うバスに、運転手が再び右手を挙げる。 そして、私の降りる停留所に着くと、バスを停めた。 「放課後、迎えに行くから!」 彼は、初夏の輝きにも負けない笑顔で、そう言った。 私は、分かった、と言って、彼に手を振った。 彼を乗せたバスは、あっという間に見えなくなった。 すると、ポケットの中で携帯が震えた。