「あれ。桃、まだドリンクバー行ってなかったの?俺行ってくるけど。何飲む?」
一番最初に頼んだドリンクバー。
さっきまで気分が悪かったせいで、それどころじゃなかった。
「あ、いいよ!自分で行く!」
「気分悪いんだろ?早く言わないと、謎のミックスジュースにするけど。」
ドリンクバーの飲み物を全部混ぜたもの。
多分、それがハルのいう謎のミックスジュースだろう。
昔、バツゲームで飲まされたことがあったけれど、口がひん曲がるほどまずかった。
冗談だとしても、あれだけはもうごめんだ。
「え、えっと…。じゃあ、オレンジジュース…」
「ハルー!俺もおかわり!」
私の声を遮り、レンが言った。
「お前は自分で行け。」
ハルは冷たくそう言うと、グラスをふたつ持ち、ドリンクバーへと向かった。
ちぇ、なんて、レンは少し拗ねている。
ちらりと盗み見た咲の表情は、やはり不満気だった。

