「……知っていたんですか?」
再び、長椅子に腰掛ける。
ようやく落ち着いた私は、レンのお母さんへ問いかけた。
彼女は俯き加減で、とつとつと話し出す。
「知っていたわ。でも、ハルくんが『迷惑をかけたくないから、絶対誰にも言わないでくれ』って言ったの。だから、誰にも言わなかった。だから、俊も秀も……レンも知らないわ」
私は、言葉を失った。
そんな………
家族も自分の病気も、ひとりで背負ってきたと言うの?
そんなの、重すぎる。
ひとりで背負えるわけがない。
誰かに支えてもらわなければ、倒れるに決まってる。
バカだよ、ハル。
バカだよ……

