空がようやく顔を出したのは、夕暮れだった。



レンを送るため、玄関に出しっぱなしだったサンダルを履き、家の外に出る。


ハルは、もういなかった。



「じゃあ、また……な。」



名残惜しそうに、レンが言う。



「うん。気をつけてね。」



風がしばらくレンの香水の香りを運んだ。


彼は私に背を向け、ゆっくりと歩き出す。


こうしてレンの後ろ姿を見ていると、つくづくかっこいいなぁ…なんて思う。



すると、レンは少し離れたところで立ち止まり、振り向いて言った。



「なぁ、桃。」


「ん?」



私は、首を少し右に傾けた。







「俺のこと、好き?」