「桃………?」 振り上げられた拳から、再び鈍い音がすることはなかった。 私は恐怖のあまり、目を固くつむったまま、レンの腕に必死にしがみついた。 「お願い……レン。もうやめて……。」 力のこもっていた腕は、次第に力をなくした。 私は両手でそっとレンの手を包む。 どうか、優しいレンの手に戻って……。