ハルがレンの名前を呼ぶと、レンはこちらへ近づいてきた。 少しずつ、3人の距離がなくなる。 そして、レンは私の手首を掴み、自分の元へぐいっと引き寄せた。 「痛…っ!」 今まで感じたことのない彼の力の強さに、恐怖を覚えずにはいられなかった。 今のレンは、私の知っているレンじゃない。 私は心の中で叫ぶ。 (ハル、逃げて…!) そんな私の思いとは裏腹に、ハルは私を心配そうな顔で見つめている。 いつもそうだ。 自分の心配より、他人の心配ばかり。