「まともに相手してたら、俺、こんな怪我じゃ済まなかっただろ?」

「多分。」

「おいおい、ちと待てよ!わかってて巻き込んだんか?」

「だって、あんな挑発するとは思ってなかったんだもん。話で済むところを…わざわざ…」

「えー!そーゆーこと言うか?!」

「でも、びっくりした!なんか、カッコ良かったよ!」


そう言って、茜は歩きだした。


徳幸もあとに付いて、コンビニを目指して歩いた。


「俺、心理戦は得意なんだ。」

「?」

「中学ん時、生徒が問題起こすと、そいつの部活の練習が禁止になったんだよ。でも、気に入らなけりゃ喧嘩も吹っかけられるし…だから、いつの間にか身についてしまいましたとさ。姑息で卑怯だけど…」

「全然!そーゆーやり方もアリでしょ!」

「でも、通用しないときもあったなぁ!もう、ボコボコ!」

「ひぇ〜!」

「…そんな悪いヤツじゃないんじゃね?あいつ。」

「…うん。だから、これ以上は利用できなくて…」

「利用?」

「そ!あたし、すぐに人のこと利用しちゃうの!だからホラ、今も!」

「あ!あいつ言ってたなぁ…性悪女って!」

「あははは!そーだったね!トクも気を付けてね!」

(トクだぁ!あ、あれ?なんか俺、すごく普通に話してんなぁ。)