タカの、今にも茜に掴み掛かりそうな勢いに、

「でもさぁ、」

徳幸は、咄嗟に口を挟んでいた。


「ちょっと待ってよ。俺はこの子のこと何とも思ってないし、君と別れたからって、どーなるってこともないから、安心してよ!」

「ああ〜!!」

「それに、いつか想いは届くかもよ!今の君たち二人って、同じ立場ってワケじゃん?お互いの気持ちも分かり合えるはずだし」

その瞬間、

徳幸の頭の中がグラッとなり、
地面に横たわった時、
はじめて頬の痛みが伝わってきた。


「痛ぇ〜。」


それでもまだ、迫り来る勢いのタカから、

茜は自分の身を呈し、
徳幸をかばって、こう言った。


「そーゆーとこが嫌なの!」


そして振り返り、徳幸の頬を擦りながら、

「ごめんなさい!変なことに巻き込んじゃって!」

と、真剣な顔つきで謝ってきた。


「こんなことが続くなら、俺、マジで迷惑なんだけど!」


徳幸は、わざと冷たく、タカに聞こえるように言い放ってみせた後、
小声で、

「“嫌われちゃったじゃん”って、あいつに向かって言ってみてよ。」

と、茜に呟いた。


「え?(あ!)ほら〜!!タカのせーで、あたしが嫌われるんだから!!」