「ごめんな、急に。」

「ううん。あたしもハッキリしときたかったし!」


ドキッとした。


「昨日のメールのあと、何度も電話を掛け直そうと思ったんだけどね…」

「あー。」


徳幸は、ポケットの中の携帯を探りながら、昨日のメールの内容を思い浮かべていた。


「あたし達って、どう思う?」

「え!…まあ、」

「ある人に言われてね。“なんでいつも一緒に居るんだ?”って!“つきあってるのか?”って!」

「あ、」


その時の徳幸の頭には、律子の顔と、野球部の格好した誰かの姿が浮かんだ。


「このことは、誰にも言わないでほしいんだけど…」

「ああ、うん。(言わないと!好きだって、一言!)」

「何も聞いてない?」

「!何って?」

「やっぱり気になる?あたしと碧人達の関係。」

「え?」

「そして、茜ちゃん。」

「は?」

「あたし…実はね、弟が居たの!一つ下のね!」

「(その話?!)あー、光一から聞いてるけど…」

「そ!」

「野球少年だったって。」

「うん。でも事故でね…」



風向きが変わり…いや、本当は始めから?
告白は告白でも、とてもじゃないが、“愛の告白”といった空気では、なくなっていた。