その頃、碧人の家には、
ジャズの練習が無い光一と神戸の三人が揃っていた。


そこへ、茜が帰ってきて、

「光ちゃんに彼女が出来たんだって!」

と、光一を肘で突いてみせた。


「何でおまえ知ってんの?俺、言ってねーぞ。」

「カオリンから聞いた。昨日。デートだったんでしょ?」

「おっ!」


光一は二人の顔を見たあと、茜を見た。


目が合ってすぐに、茜は視線を碧人に移して聞いた。


「お兄ちゃんは昨日、何してたの?」

「…別に何も。」

「ふーん。」


光一は、その段かいで、茜が何を言いたがっているのか、わかっていた。


「今日、トクって人は?」

「今日は来ないよ。用事があるんだって。」

「あれー、茜ちゃん気になるの?」

「バカじゃん。何言ってんの。」

(ナイス、コービー!)

と、思いながら、そこに透かさず、

「アイツ忙しいみたいだぜ。小学校の頃のダチんとこ、しょっちゅう会いに行ってるみたいだし。」

と、話を反らさせる光一。

すると、

「あー、好きな子がいるとかって言ってたもんなぁ。」


光一からのパスを受けた碧人が、見事ゴールを決めた。