「俺?別にたいしたもんじゃねーよ。」と、

徳幸はためらうことなく、自分のことを話はじめた。


「福岡に居た時はバスケ部だったんだけど、中二の終わりで東京行きが決まってさ…そこには、もう俺のポジションがなくてさ!」

「そりゃ〜キツいなぁ。数か月で引退だもんなぁ。」

「それでギターを?」

「福岡の時の友達に、弾けるヤツが居たんだよ。そいつの兄ーちゃんもバンドとかやってる人で、たまに教えてもらってたんだ。」

「たまにでそれかよ。」

「転校先の担任がさ、受験時の内申に、部活に所属してないことが不利になることを心配して、英語部の隅でギターを教えてくれてさ。」

「?」

「洋楽!主にビートルズとかクラプトンとか…これにハマってさ!」



徳幸にも疑問があった。


なぜ、自分がギターを弾けることを、この男達は知っていたのか?


「なんで?」

「おまえ、このあいだ音楽室に行っただろ?」

「んぁ。」

「その中に、キーボードのヤツが居たんだ。」

「…なるほどね。」