こうして、

『徳幸がナビゲートする、光一とりっちゃんの初デート、波多野付き!(に、タイトル変更)』

は、出発することとなった。


「どおする?鎌倉から行くか、藤沢から行くか…」

「お任せしまーす。」

「じゃあ藤沢に出よう!江ノ電が街を進んでいくと、突然、目の前に海が広がる、あの瞬間!何かから解き放たれたような気分にならねえ?」

徳幸もテンションが上がってきたようだ。


「…いいよ!藤沢から乗ろう!夏の海の時は鎌倉から回ったしね!」

「ホントだよ!由比ヶ浜過ぎて、わざわざ藤沢に」

「でもさぁトクちゃん!」

徳幸が話してる途中、食い気味に入ってきた波多野は、

「初恋の人と会えたじゃん。」

と、徳幸の耳元で囁いた。


「なぁに?今、何したの香織〜!」


あのことを知らない、光一と律子には、
声が漏れぬように気遣った波多野の行動が、
なにやら親密に見えた。


そして、波多野はごまかす。

「あたし江ノ島って行ったこと無いかも。」

「俺、ガキん頃、家族で行っただけだなぁ。」

光一も合わせた様で、

「じゃあ行こうよ!このメンバーでは初めてなんだから!」

と、そうなることを分かっていたかのように、話続ける波多野。

「恋人同士で鳴らす鐘があるんじゃなかったっけ?!」