だからと言って、
チャラチャラしているワケではなく、
気取ってもいない。


表立って、誰にでも同じように接しているのが、逆に勘違いさせないのかもしれない。

思わせぶりに思わさせないところが不思議だ。


徳幸のように話掛けづらい方が、逆に意識させたり、思いを募らさせてしまうのだろう。



「媚びないトクがモテるのが分かる気がする。」

「どーゆーことだよ。誰が誰に媚びてるって?」

「トクは渋くてカッコイイって話だよ!ギターはうめーし、足速えーし、ボール持たせりゃもう、ぴゅんぴゅん!なのに全然の調子に乗らない!」

「ホントだよな!なんで女つくんねーのかが分かんねぇ。あの光一にできたっつーのになぁ。」

「さっきさ、トクと波多野が話してるとこ、マジマジ見て思ったんだけど、トクが他の女子と話てるとこ見ねーよなぁ…ホント。」

「そんなことねーよ。あんまり自分からは話さないけど。」

「でた。だいたいモテるヤツが言いそーだもん、そーゆーこと。」

「俺も自分からは、話し掛けないなぁ。」

「碧人は全身から、話し掛けて下さいオーラが出てるからな。」

「あ、バレちゃった?」

「バレちゃった。」

「寂しがり屋さんなので。」



春に初々しかった者達は、
夏に浮かれて、
秋には答えを出そうと、焦っているかに見えた。


が、徳幸的には、
今を楽しんでいる様に見える、碧人達と、
こうやって過ごしている時間を、大切に思っていた。