徳幸のクラスに碧人がやってくると、女子の視線が集まっているのがわかる。


「トク帰ろーぜ。」

「んあ。」


最近では、こうして碧人とコービーと三人で帰ることが定番になっていた。


教室でだけじゃない、
今や、注目の的となっている碧人達といると、

「今日もバンドの練習?」

「そゆこと。」

「今度、見たいなぁ。」

「今度ね。」

「ホント?!」

「いつかね。バイバイ!」

「うん。じゃあね!木村くんもバイバイ!」

「あ、じゃ。」と、

知らない者までもが、徳幸に声をかけてくる。


「…ありゃ、はじめからトク狙いだな。碧人撃沈。」

「そーゆーおまえは、はなっから狙われてなかったな。」

「別にどーでもイイよ。」


碧人とコービーのやりとりを、黙って聞いている徳幸は、

「やっぱ、話し掛けやすい何かがあんだろうな、おまえには。」

「都合の良い男でーす。」

そんなことはないと分かっていた。


女子は、本当に碧人と話がしたくている。


ファン的な思いの娘も、
本気で碧人のことが好きな娘も、
もしくは、なんとも思っていない娘からも、

気軽に話し掛けてもらえるキャラを、碧人自身がつくっているように思えて仕方ない。