僕らがめぐり逢うために。〜幼なじみの恋〜Ver.2

文化祭明けの学校は、
まだ祭り気分が抜けずと言った感じで、

それをきっかけに、生徒それぞれが、調子良く声を掛け合うようになったと思える、そんな中


「トクちゃん!」


徳幸も、歩み寄ってくる波多野に、心踊らされていた。


そんな気持ちが悟られぬよう、

「おう。」

座ったまま返事してみせたが、

徳幸の一つ前の席の椅子へ、
横に座り顔だけ向けては、ニコリと頬笑みかける波多野に、

「なに?」

頬の筋肉が、緩まずにはいられなかった。


「うん。このあいだは…ありがとうね!」

「ん?」

「トクちゃんがメンバーのことを気に掛けてくれてるのがすごくわかった。」

(メンバー?あの時は、波多野のことでムキになってたんだけど…)

「茜ちゃんのことまで気にしてもらっちゃって…」

(それは、あの娘が波多野のポジションに入ってきたからで、)

「やっぱり、あたし達ずっと一緒にいるから、それが当たり前になっちゃっててね…本当は、それじゃいけないのかも。誰も前に進んでないって言うかさ。」

「?(どーゆーこと?)」

「でもトクちゃんが新しい風を運んでくれて、ちょっと良い感じだよ、今!」

「!」

「うん。なんか、そんな気がするんだ、あたし。」


波多野の言ってる意味は分からなかったが、
悪い事ではないことは感じとれた徳幸だった。