「…俺が言うのもヘンだけど、おまえら、いつも一緒だから…」

「なんだよトク、君だって僕達と、いつも一緒に居るじゃないかぁぁぁ!」

「…やっぱ、まだまだだなぁ俺。こーゆーコービーのノリに、どうしたら良いのか分かんねーもん。」

「そんなの、今だに俺だって分かんねーよ。」

「無視してりゃいいんだよ。」

「なるほど。」



徳幸が心配することではなかった。


でも、他ならぬ波多野のことに、心配せずにはいられなかったのだ。


自分が波多野に気があることが、
皆にバレたのではないかと、
あとになって気がついた徳幸だったが、

なにしろ無意識に、
夢中で抗議していたのだから仕方がない。


すぐに我に返り、冷静に対処はしていたつもりではいたが…


(その時はその時だ!)


開き直ったと言うか、
覚悟を決めたと言うか、
半分、ヤケにもなってたけれど、

誰も、何も言ってこなかったので、そのままにした。


(近くに居すぎて、それ以上の感情が湧かないのかな?家族的な?…離れてみて初めて存在に気付くってやつか?そんなんじゃ遅いのに!…俺、知らねーぞ!)

と、心の中では、そう思いながら。


そして、そんな穏やかな徳幸の、真情を掻き立てる、ある情報が、のちのち、耳に入ることとなる。

が、

それまでの日常生活は、
やはり、平凡で、謎めいていた。