文化祭は大成功で幕を閉じた。


碧人達の名前は知られてなくても、
軽音部の顔として、かなりの存在感をアピールすることができた。


中でも、ボーカルの碧人は、
後夜祭で女の子に集られている。


いつもの調子で、上手く適当に相手する碧人に比べ、

不器用なうえにシャイな徳幸は、
なんとか誤魔化して、逃げるのに必死だった。


「モテるのも大変だね!」

波多野がからかうと、
ホッとした表情で歩み寄る徳幸。


「これ、いつまで居なきゃいけないの?」

「帰っても良いんだけど、ファンが悲しむよ〜!」

「いいよ、そんなの。」

「…じゃ、帰ろっか!」


ふたりは校門をぬけ、そのまま、街へと向かった。


「あ〜あ、終わっちゃったね!」

「なんだよ。これが最後みたいな言い方じゃん。」

「だってさ、これでしばらく、ステージに立つこと無いからさ!」

「次は…」

「予餞会!その後、新歓!」

「春まで無いのか〜。」

「でしょお!……ねぇ、新入部員、来るかな?」

「だとイイな!」

「ねぇ、幾つかバンドが増えれば、どこかでやるチャンスできないかな?」

「なるほどね!」

「さっきね、女の子達が言ってたよ!軽音部入って、トクちゃんとお近付きになっちゃおうかなぁってさ!」