一曲目のメドレーの、曲が繋がったところでは、
会場から、大きな歓声があがった。

大成功だ!

徳幸は悔しかったが、
あの時、茜が残していった譜面通りの演奏だった。


そして、曲が終わると、

碧人が、軽音部のバンド募集のコメントを告げて、

二曲目へと入った。


徳幸が加わってからは、たった半年だったが、
この前の波多野の話では、
このバンドも、組んでから歴史があるらしく、
幼なじみで、息もピッタリのメンバーと、
さらに練習も重ね、
それなりに聴かせる演奏で、
こうやって会場も盛り上げられる。


これほどの宣伝はない!


「あざーしたっ!!」


演奏が終わり、アンコールで盛り上がる中、
三年生バンドと入れ替わった。



「良かったよ〜!!」

駆け寄ってきた部長が、

「皆が盛り上げてくれたお陰で、その余韻のまま演奏できるよ、あの人達。」

と、三年のバンドを指さして言った。

「ね、あんなんだし…」


確かに、お世辞にも上手いとは言えないが、ノリは良い。


「去年、あの後を仕切り直すのが嫌でさぁ。ま、アレでも人間的には人気者みたいで、唯一ソレが救いだよね。とにかく有難う!じゃあ、波多野さん早川くん、次、スタンバってね!」


言うだけ言って、部長は去って行った。


「なんだアレ!俺達、おまえらのお膳立てしたつもりねーっつんだよ!」