メイン会場は、

演劇部を鑑賞したまま、残っている人と、
ブラスバンドを聴くために、早くから席を取って居る人達の他にも

その間に演奏するバンドの、それぞれの友達と、

球技大会で、一躍、有名人となった徳幸の
また違う一面見たさに集まった、
女子やバスケ部員も含め
立ち見がでる程、埋め尽くされていた。


もちろん、徳幸は、
そんなこと、意識してなければ、
気がついてもいない。


ただ、夢中になって仲間と練習し、
知らぬ間に、波多野に夢中になっていただけなのだ。



「今ここに居る奴ら、全員、俺らの虜にしてやろうぜ!」


わざと気取った碧人が、いつもの様に冗談を言った。


皆、笑いながらも、
本当にソレを狙っているように受け取ってもいた。


「悪いけど、俺一人のモノになっちゃうかもよ!」


ドラムの神戸が言うと、

「やれるもんならやってみろ。」

と、皆、大爆笑!!

おかげで緊張がとけた。


準備が整い、幕があがる瞬間、

「マジで!今日の主役は俺達だから!」


碧人の一言で、気合いの入った、
一年生バンドのステージが、幕を開けた。


選曲に間違いは無かった。


ノリの良い、メジャーな曲に、
皆、手拍子で迎えてくれた。